- 公開日時
- 2025/10/12 08:42
- カテゴリ
- 一般登山
後立山と裏銀座をつなぐ静かな山域
- 場所
- 北アルプス 船窪岳周辺
- 日程
- 2025年9月14日 〜 2025年9月15日
- メンバー
- 西本会長
船窪岳周辺は、北アルプスで私が唯一足跡を残せていない山域です。
今週は敬老の日の三連休前から秋雨前線と低気圧による悪天が続き、 欲張らずに、船窪小屋泊の一泊二日の日程で、七倉〜七倉岳〜北葛岳〜蓮華岳〜針ノ木峠〜扇沢に足跡を残すことにしました。
独りで500kmの行程を運転し、七倉の駐車場に着いたのは夜の10時、悪天だというのに既に駐車場は半分以上埋まっていました。 深夜にバチバチと車を叩く雨音に目が覚めました。 初日の雨は覚悟の計画。2日目の稜線歩きさえ晴れれば良い。 明るくなって準備をしていると、登山指導所のお姉様に捕まりました。 針ノ木方面に行くという私に、「本当に行くの、無理してはだめよ」とかなりご心配な様子。 私は知りませんでしたが、このところの豪雨で、裏銀座につながるブナ立尾根登山口の橋は流され、通行不可になっていたようです。 更に今晩は暴風雨の予報だったのでね。
雨が小降りになるのを待ち、9時前に出発。 七倉岳登山口付近の沢は濁流が渦巻いてました。小屋まで、雨で滑りやすい木の根っこの階段続きの急登を一気に1500m登ります。 途中、山頂を断念して下山してくる登山者と話をする以外、単独では話し相手もなく、雨で景色もなく、歩くしかありません。 小屋まで5/10と書いてあるプレートで初めてザックを下ろし給水タイム。 尾根に上がるにつれて風が強まり、小雨とはいうものの、バチバチと打ちつけてきます。 一気に歩いて早々に小屋に到着、コースタイムの半分でした。 そうそう、「スギちゃんがいるとすれ違うみんなと長話をして進まないんだよな」などと一人で笑いながら小屋の戸を開くと、囲炉裏の周りで小屋のスタッフが昼食中でした。 冷え切った身体に、ウェルカムドリンクの熱いお茶が嬉しかった。
最近はランプの宿と言いながら、発電機による照明の小屋が多いですが、この小屋は発電機が無く、ランプが一晩中灯っている本物のランプの宿でした。 悪天キャンセルでこの日の宿泊客は私を入れて4名。5時からの夕食の後、6時には皆さん布団に入ってました。
朝は5時から朝食。昨日の予報では止んでいるはずの雨が降り続き、強風が窓ガラスにたたきつけています。
山頂を断念して下山するという他の宿泊客が見守る中、カッパを着て身支度をし、せめて出発時くらいはと小降りになったタイミングで出発しました。 出発時に小屋のご主人が表に出て、入り口のベルを鳴らして見送ってくれました。 山々に響く鐘音に勇気をもらいます。
雨が止む前の出発は理由がありました。針ノ木小屋から扇沢に下る道が降雨による土砂崩れで通行止めになっているとの情報がありました。 状況次第では、針ノ木岳〜種池山荘経由で下る22kmの長距離行動になります。 降り続く雨の中、昨日同様に黙々と歩き、コースタイムの半分で蓮華岳に到着。 この頃にようやく雨があがりました。下り道には遅咲きのコマクサの花がチラホラ。 ここまで二組のライチョウ親子にしか会いませんでしが、ようやく何人かの登山者と出会いました。 荷物を見てそれらしい二人組に話しかけると船窪小屋に向かうとのこと。 そして心配していた登山道は迂回路を歩けたとのことで一安心です。
針ノ木峠からは雪のない雪渓後のガラガラ道をひたすら下るだけ。 痛み始めた右ひざをかばいながら大沢小屋に到着しました。 情報ではここから迂回路に入るようですが標識がありません。 通常道には小さな「扇沢」と書かれた真新しいプレートが下がっていました。「何とかなるだろう」と進むことに。 崩壊しているという鳴沢に着くと、谷は深くえぐれて対岸のピンクテープに行くには5m以上下りて登り返さなければなりませんでした。 蟻地獄のような土砂壁をズルズルと滑りながら通過。 水が引いていたので何とかなりました。 あとはひたすら歩き扇沢に下山。 タクシーで七倉に戻り連休最終日の大渋滞の中、帰路につきました。
一夜明けた今朝、太ももの強い筋肉痛で手すりに全体重をかけて階段が下りました。 今夏は源次郎尾根、朝日〜白馬岳、仙塩尾根と長距離を歩きましたが、筋肉痛にはならず。 数年ぶりの激しい筋肉痛に喜ぶM西本でした。
写真は七倉岳~蓮華岳の縦走路で出会った雷鳥親子。 「ライちゃん、ライちゃん」と話しかける怪しい爺さんをじっと見つめてきました。