Featured Image
公開日時
2025/06/04 20:01
カテゴリ
ロッククライミング

三倉岳「中の岳マルチピッチクライミング」

場所
広島県 三倉岳
日程
2025年5月31日 〜 2025年6月1日
メンバー
西本会長、田路、西本Y、塚本、足立、杉田、松山、石野、森 (広島山岳会、JAC広島支部)

松山さん

三倉岳にて広島山岳会とJAC広島支部の皆様との交流会クライミングに初参加させていただきました。 私は日曜の中の岳マルチのみの参加でしたが、土曜日から三倉入りしていた皆さんは初日にゲレンデ、翌日マルチというハードなスケジュールにもかかわらず、少し長くてキツめのアプローチもスタスタと登られていました。

中の岳取付きに着くと、1ピッチ目からいきなり大きな岩と岩の隙間を手足で突っ張って越えるという難所に心を折られる。 私はラスト大トリで登ったので、それまでみなさんのムーブをじっくり研究させていただいたおかげか、思っていたよりはスムーズに登ることができました。

岩肌がザラザラの花崗岩はフリクションがとてもよく効きスラブも登りやすかったのですが、度々出てくるクラック登りで服やザックは擦れてボロボロ、体も擦り傷と打撲痕だらけになりました笑。 クラック登りは慣れないムーブで無駄な力が入りすぎたのか、1ピッチ毎に喉がカラカラになるほどバテバテに。 トップアウトする頃には空腹と疲労感も相まって手にも足にも力が入らず、イモムシ状態でなんとか登りきりました笑。 暑い中長時間のクライミングで疲れはしましたが、終わってみれば慣れないクラックルートを登り切ったという現実に達成感はひとしおでした!

オールリードを担ってくださり、安全かつ楽しいクライミングをさせていただいた西本会長・石野さんをはじめ、アドバイスをしてくださったり秘密兵器(アブミとか)を持参してくださったメンバーの皆さんに感謝です。

ありがとうございました

塚本さん

登攀後に

待ちに待った年に一度の三倉岳。行く前は天気で右往左往していたけれど、結果土日とも青天の素晴らしい天気。これで4回目の三倉だけど晴れなかったはない。思いがいつも通じてるなぁなど思いながら、現地入り。そして広島の方々と久々の再会。

初日の土曜日は、三倉のゲレンデ。岳友メンバーは西本夫妻、田路さん、スギちゃん、森ちゃん、石野くん、塚本の7名。HACは松林さんと元廣さんの2名、JACはリーダー勝田さん率いる7名。広島メンバーがゲレンデを案内してトップロープをかけてくれる。松林さんが源助周回ツアーに案内してくれる。至れり尽くせりのおもてなしクライミングをみんなで堪能。昨年と一昨年とリベンジ課題を残していたモアイクラック(5.9)とヒップクラック(5.9じゃない5.9)に再びトップロープでトライしたけれど、きれいに惨敗。モアイはチョックストーンが攻略できず、ヒップは最後のあと一歩が一ミリたりとも進まず…まだまだクラック登りが下手くそで、課題残留。その他は、セッコク(5.9)、猫の悲鳴(10b)をトップロープで登り、慣れないクラックで全身バキバキになったところでこの日は終了。

夜は楽しい交流会。広島岳連のキャンプファイヤーから始まり、炊事棟を半分拝借し、料理したり食べたり飲んだり、交流を深めました。

翌朝、ダッチーとケイさんが参戦。岳友計9名となって中ノ岳と上ノ岳の2つのルートに分かれ、三倉岳マルチピッチクライミングに挑む 田路さんと塚本は三倉4年目、ようやく念願の上ノ岳にチャレンジ、なのだけれど、練習不足と前日のゲレンデでだいぶ力を使ったのかバテバテで、取り付きに着くころには登れる自信ゼロ。日差しも強く疲れも増す。

トップはJACのパーティ。若き強強男子パーティで1ピン目が4メートルほど先の穴にカムをとるという遠いスラブだったけれど、すいすい登っていく。次のパーティは岳友エースのダッチー森ちゃんペア。ダッチーが難なく怖いスラブを乗り越えていく。ダッチーはカムではなく、より左にそれた細木にスリングをかけていた。そして3パーティ目は田路、松林、塚本パーティ。とりあえず塚本がリードで登り始めるのだけれど、どうも最初の乗越がうまくいかず、何回かチャレンジするも、確保のない中、乗り越える自信がなく、あまり時間と体力を使いすぎるのもなんなので、さらりとリードチェンジを申し出、松林さんリードに急遽変更。さすが松林さん、淡々とリードで登られ、フォローでなんとか登らせてもらった。田路さんは技を駆使してさらりと登る。

2ピッチ目、今度こそリードと思ってはいたけれど、疲労でちょっと眠たく、また核心でフォローのダッチーが苦労しているのを見て、これ、無理なんじゃ?と思い、あっさり松林さんにリードをお譲りする。横クラックを右トラバースとするところから始まり、ペツルのピンがあるところが核心部、松林さんは足場が高い核心を巧みな鐙で切り抜けた。ところが、上部の乗越で苦戦。そしてペツルのピンがある核心手前の場所まで降りてこられたと思ったら、急遽リード交代要請が。一瞬、え~、無理じゃ!?となったけれど、核心超えた薄被りの乗越の手前までロープがかかっていたので、乗越をするだけだと思い、フォローで核心手前まで出向き、そこからトップロープのなんちゃってリードをスタート。と思ったら、私がつけている赤ロープじゃなく、ピンにかけられているのは青ロープじゃないですか!?そこでまた青ロープで八の字を作り、装着。こんな即席のトップロープで大丈夫かなとドキドキしながら、核心は迷うことなく鐙で抜け、乗越手前まで行く。松林さんが足が上がらんと言っていたところは足が上がったのだけど、左足を上げて右足も上げてしまうと、岩に座り込んでしまい、その上の岩が被っているものだから、立ち上がったら後ろにひっくり返ってしまいそうで怖くて動けず、まさかのここで残置、岩になってしまうのか、と思いながらまったり。怖くて、もう動けませんと弱音を吐くと、「ちゃんと帰してくださいよ」と松林さん。そこで、ああ、こんな危険な山行に送りだしてくれた可愛らしい松林嫁のためにも松林さんを家に帰さなくてはならんと心を奮い立たせ、怖いながらもなんとか立ち上がり、泣きながら乗り越える。そこからは無我夢中ながら普通に登れて終了点で松林さんをビレイ、そして松林さんが田路さんをビレイ。

リード交代ついでに3ピッチ目を最初からリード。ここも最初に体を上げて1ピン目をとるのが難しい。前半は手がなくてほとんど足だけでスラブを行くピッチだなと思った。1ピン取ってからもスラブのトラバースで、全く手がなく、イチかバチかの足オンリーで、そこまで嫌いじゃなかったスラブに大嫌い!と言いながら進む。スラブのトラバース後、少し登ると、今度はクラックの登り。気持ちのいいレイバックで上がっていく。最後はちょっとバランス悪いのでカムのA0で登りきる。縦クラックが終わると横にトラバースしたところに終了点が見える。後で聞くと、本当は直登が正しく、その終了点は別のルートらしいが、早くほっとしたい私としてはもうどちらでもよく、終了点目指してトラバース。 3ピッチ目の終了点はすっかり開けていて眺めがよく、セカンドビレイが気持ちいい。怖かったけどリードしてよかったなと思う。

4ピッチ目は全然難しくないというから、歩きだと思っていたら、少し3級くらいの歩きのあと、結構クラック登りだった。クラックに入るとしんどいかったので、外に出てステミングで登った。そこを松林さんはサスケじゃと言いながら楽しそうに登っていた。クラックの右を登り終えた後にピンが見えたので、そこでカラビナをかけたら、左手に終了点が見えた。ロープがあと7Mというので、左終了点が正解かと思い、クラック右のピンに確保をとってクライムダウンし、クラック左に飛び移り、セカンドビレイ。登ってきた松林さんが言うには、右をそのまま行くのが正解だったらしい。ロープはまだ余裕あったとのこと。その終了点からは中ノ岳の山頂が見えた。おーい、というやり取りして、豆粒程度の写真撮影をやり合う。

松林さんは私がビレイした場所には立ち寄らず、そのまま今度はリードで終了点まで行ってもらう。3回目のリード交代。少し行ったところにハーケンとぼこっと出た岩がありそこにスリングをかけて終了点が取れるそうだが、私がセカンドビレイした終了点の方が安定しているので、そちらの方がいい気がする。座ってビレイできるし、きっと次もそこでビレイするのが良い気がする。実際そこは、「岩ひば(5.8)」というルートの終了点だったらしいが。 松林さんリードの5ピッチ目は開けていて、終わりが見えるルート。ほっとしながら、最後少しのアップダウンを超え、ゴール。私も田路さんもたどり着けないかもしれないという思いがあったろうから、ゴールの喜びはひとしお。そこで3人で記念撮影して、上ノ岳山頂まで登る。(写真はそのときのもの)

下山時に中ノ岳パーティと合流。 下山後に小屋で飲んだ久々のファンタが尋常じゃなくおいしく一気飲み。 すっごく疲れたが、結果すっごく楽しかった~~~~!

今回も広島の方々の歓待を受け、三倉岳を存分に登らせてもらった。本当にいつもありがたく、こうした会を開くことにご協力いただけたHACとJACの方々に大いに感謝。 準備不足で辛いクライミングになってしまったけれど、たくさんの刺激を受け、クライミングもっと頑張ろうと思った。そしてまた次の秋の交流会でもっと歓待できるように頑張ろう。

今回の反省点としては、やはりマルチは初日がいいなと思った。前日軽くゲレンデとか思っていたけれど、クライミングしたい人に軽くって無理やん、と思った。マルチはもっといい状態で挑みたい。

ここで宣言しておくと、来年も私は上ノ岳を登りたい。今度は全部リードできるくらいもっとトレーニングして。田路さんも上ノ岳をまた登りたいと言われていた。また来年に向けてクライミングを頑張ろうと思う。